IFBテクノロジーズの
ファインバブルラボの2階には海水の水槽が2台並んで設置されています。
これらは海水の水質管理の研究用で、実際に熱帯の海水魚やエビ、ヤドカリや貝などが飼育されています。
餌は食べられてプリっとアンモニアとして生体から出ることは想像に難くないと思いますが、その後ろ過機に棲みついている好気性バクテリア(酸素大好きバクテリア)によって亜硝酸に変化します。亜硝酸には毒性がありますが、これもまた分解されて硝酸塩に変化し、ほぼ無害化されます。
硝酸塩もほぼ無害といいながら、あまり溜まると良くないので、時々水換えをしないといけない、とされているのですが、実は嫌気性菌(酸素があると生きていけないバクテリア)が元気よく働ける環境を作ってあげることで、彼らの努力によって硝酸塩は窒素になり無害化することができます。
ここまでが従来のやり方です。あらかじめたんぱく質を除去するためにマイクロバブルを使用したプロテインスキマーを使用した上で、余裕を持った大きさのろ過層で好気性菌を飼い、水槽に砂を厚く敷くことで嫌気性菌の住居を確保することで水換えが不要なろ過システムの出来上がり。というわけです。
しかし、個人的にはかなりショッキングだったのですが、つい最近知った情報として、近年分かったことらしいのですが、珊瑚などの無脊椎生物には硝酸塩がよい餌になり、育成促進につながる。ということなのです。難しいことを書くとKH(炭酸塩硬度)とのバランスやpHなどとの関係が重要だったりするようなのですが、私が知っている海水水槽のろ過の世界に硝酸塩を残してもよいという知識はなく、ましてやそれが珊瑚の生育に必要などとは、正直びっくりしました。
新たな発見により、ろ過の考え方も変わってきます。昔正しいと思われてきたことが、今では正しくない。どこの世界でもあることですが、遅れないようについていきたいものです。
今後のラボ水槽計画としては、アクアポニックス(野菜を育てながら同じ水で魚の養殖を行うもの。魚のフンで野菜を育て、フンの成分を野菜が吸収することで水は良い状態が維持される、小さな循環世界)を行います。アクアポニックスの効率を上げるためにハワイ大学などではIFBテクノロジーズのUFB生成装置を用いて研究が進んでいるわけなのですが、ハワイ大学では葉物野菜+ティラピアでの実験が主体で、同じく世の中のアクアポニックスでは淡水が使用されています。普通に考えたら野菜に塩水をあげるわけにはいきませんから、ヒラメとレタスといった組み合わせは考えられないわけですね。
しかし、ここで、先ほどの話なのですが、珊瑚は硝酸塩(フンが行きつく先の物質)をありがたく吸収してくれる。ということは、例えば海ブドウなどは多分喜んでいろんなものを吸収して大きくなってくれるのではないろうか。と思ってしまうのです。
海ブドウ X 海水魚 これもある意味アクアポニックスではないでしょうか。その先には様々な海藻類をヒラメやハマチやサーモンと育てるといった可能性が見えてきます。
まずはラボレベルで出来る海ブドウやワカメなどを用いた実験からスタートしようと考えています。
現時点ではまだアクアポニックスの水槽も買っていない状況なので、これから具体的に進めていくわけなのですが、既にある水質研究用の海水水槽2台の中にはドリーやニモも元気よく泳いでいますので、大阪にお越しの際には餌やり体験にいらっしゃってください。
水槽がある当社
ファインバブルラボの場所は、新大阪駅から地下鉄で2駅、江坂駅から徒歩7分。少しきょろきょろしながら歩くと10分。途中の江坂公園で休憩する、あるいは吉野家で牛丼を食べたりすると20分の距離にあります。